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研究委員会

都市交通研究所では研究委員会を設置しています。


 
鉄道沿線の健康まちづくりと鉄道事業に関する研究委員会委員会内部ページ


主査:秋山孝正(関西大学教授)
副主査:水谷淳(神戸大学准教授)

 これまで、集約型都市構造のコンパクトシティ、環境に配慮したスマートシティの動向を踏まえて、近年では超高齢社会における課題として、健康を意図したウエルネスシティの構想が提唱されている。また都市鉄道の沿線地域の健康は、地域活性化につながり、超高齢社会の生活様式の変化に配慮した持続可能な都市交通システムの構成が期待されている。
このようなことから、本研究委員会では「鉄道沿線地域の健康まちづくりを考えた鉄道事業」の具体的な構成と沿線地域活性化に関する有効性を検討する。
超高齢社会となり、京阪神都市圏における都市鉄道需要の減少が顕著であり、また生活様式の変化から多様な都市交通パターンの変化への対応が重要である。市民の健康増進は、地域活性化と都市交通需要の増加を与える。また、高齢者の健康増進・介護予防の視点からの具体的な都市鉄道事業者の役割りを導出し、健康まちづくりの地域貢献として位置づける。この研究委員会は、「都市鉄道ネットワーク」委員会からの発展的研究を明確化する委員会としての性格を有している。


 
これからの鉄道ターミナルを考える研究委員会


主査:西井和夫(山梨大学名誉教授)
副主査:秋山孝正(関西大学教授)

 これまで都交研の研究委員会では、都市鉄道事業を取巻く「鉄道サービス・運賃論」、「需要分析・予測方法」、「ネットワーク整備論・沿線開発」など数多くのテーマについて検討が重ねられてきた。近年では、「鉄道でまちづくり」や「都市のコンパクト化と交通」のテーマのもとに「駅」(ノード)施設のサービス機能の検討あるいは駅施設の周辺地区形の変遷は、都市鉄道事業者にとって事業経営に直接的な運輸・交通部門に関連する「サービス」「需要」「ネットワーク整備」から「鉄道とまちづくり」「公共交通と都市構造」という外部性(関係性)への展開(ここで、関係性とは『都市鉄道事業』を『都市』と『鉄道(事業・経営)』との関係性を指す)が特徴的である。今後は、鉄道事業を通じた様々な革新的なサービスの提供が地区や沿線の付加価値の向上そしてまちづくり(鉄道ターミナルエリアの拠点機能強化)にどのように資するかという主題への実証的(定量的)展開が求められる。また、このような研究テーマの変遷の時代的文脈に着目すれば、都市鉄道事業者にとっては鉄道事業部門(交通サービス中心の運輸交通部門)だけでなく、非鉄道事業部門(不動産・レジャー・小売などの都市開発部門)拡充・強化による事業経営戦略についても注目すべきであり、さらには今回の新型コロナ感染症の世界的拡大に伴い「with/post-corona社会」を見据えた新しい生活スタイル(New Normal)へ適切な対応のあり方についても喫緊の対応テーマとして位置づけるべきであろう。
 そこで、本委員会では、『交通結節施設』そして『都市的活動の場(空間)』としての「鉄道ターミナル(エリア)」をキーワードとして取上げ、交通サービスだけでなく様々な都市的活動サービスの「空間」として、利用者にとって魅力的な(付加価値の高い)、事業者にとって持続可能な事業戦略に適った(sustainably manageable)そして望ましいエリア形成(まちづくり)に資するような、これからの鉄道ターミナルの空間整備のあり方を検討していく。
 「鉄道ターミナル」に着目するのは、「鉄道駅」(駅本体施設)という表現とは区別して、まちづくりや地区・拠点形成の検討において、鉄道駅施設に直結(隣接)した地区として一定の空間的広がりを有するエリアの有する諸機能(交通結節機能とそれに関連した都市的諸活動のための空間機能)を明示的に取上げることができ、またそれらの多様でかつ今日的ニーズに合致した革新的なサービス機能の充足・整備によって「鉄道と都市との新たな関係性」の構築に向けた知見を得ることが期待されるからである。
 本委員会は、都交研の学識メンバーおよび鉄道事業者メンバーの他に、5名の招聘委員の体制により2020年11月にスタートし、数回の研究委員会を開催してきた。この間、これまでの研究委員会の諸テーマを再考し、鉄道事業と都市との関係性に着目した鉄道ターミナルエリアの捉え方、政策評価・効果分析の考え方とともに、鉄道ターミナルにおける移動・活動サービスに関する定量的な需要分析方法およびエリア・マネジメント手法についての基本的な課題の検討を行っている。2021年11月からは,2年目に入ることから、これらの課題に対する実証的な分析に入るとともに、その結果を踏まえながら、都市鉄道事業者にとって、post-coronaを見据えた鉄道ターミナル整備が多角的経営などの事業経営戦略にどのように関与と影響を与えるかについても検討を進める予定である。


 
都市交通事業と地域社会委員会


主査:宇都宮浄人(関西大学教授)
副主査:三古展弘(神戸大学教授)

 人口減少の時代、交通事業は、鉄道、バスといったモード単体での議論、あるいは従来型の不動産事業を通じた外部効果の内部化だけでなく、地域作り、まちづくりという観点から、地域社会と連携をとり、地域とともに沿線価値を高めることがこれまで以上に求められる。2020年の地域公共交通活性化再生法の改正により、各自治体で地域公共交通計画の策定が努力義務化され、公共交通や関連するモビリティを地域作り、まちづくりの中に位置づけられることになった。また、沿線自治体と交通事業者が包括協定を結ぶケースなども増えている。
 本委員会では、都心ターミナルや過疎の中山間地域ではなく、都心から一歩離れた鉄道沿線、駅に焦点を当てながら、各事業者の取組みの検討、沿線自治体などのヒアリング、海外の他の公益事業における事業者と地域との関わり方の調査等を行いつつ、交通事業者と地域のさまざまな関係者(自治体、他の事業者、住民)との間の課題を議論し、交通事業の今後の方向性と考える。


 
都市交通の需要構造と運賃・料金制度研究委員会


主査:水谷 淳(神戸大学准教授)
副主査:三古展弘(神戸大学教授)

 交通需要は、交通事業者の外的要因として沿線の人口動態や経済活動、内的要因として輸送サービスに対する運賃・料金や品質などの影響を受けると考えられる。そして新型コロナパンデミックをきっかけにして、テレワークやオンライン会議の普及など、われわれの生活様式は大きく変化し、交通需要も大きな影響を受けた。運賃に関してはJR・大手私鉄・地下鉄ではヤードスティック規制やデフレ経済の下、25年間以上改定されて来なかったが、近年では鉄道駅バリアフリー料金制度の導入や物価上昇も伴い、運賃改定(料金上乗せ)が相次いでいる。その一方で、運賃値上げだけでなく、JR東日本が運賃割引されたオフピーク定期券を導入したり、小田急と泉北高速が小児料金を一律50円とするなど、一定条件の下で値下げも実施されている。さらに2022年には交通政策審議会に「鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」が設置され、運賃規制制度の見直しも進んでいる。輸送サービスの品質に関する近年の動向としては、多くの事業者で有料着席サービスが導入もしくは導入検討が進んでいるし、南海では定期座席指定券が導入されている。
 本委員会では、コロナパンデミック直後から開催された「新型コロナウイルスの影響を踏まえた交通需要予測委員会」の成果も受けつつ、ポストコロナにおける都市交通の需要構造を明らかにし、さらには事業者の増収・社会的厚生の改善に資する運賃・料金制度を研究したい。


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